Technical Information of trc-center

講演会や講習会で配布した資料を公開していますので、お役立てください。ご覧いただくのは自由ですが、社内の講習会でご使用されたり、2次利用される場合は、ご一報いただければ幸いです。

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ものづくり基礎講座「破壊」(第53回技術セミナー)
(平成30年2月2日開催)

金属は伸ばしたり、たたいたりすることで加工を施すことができますが、限界以上の加工を行うと破壊します。金属の変形は原子レベルの転位や拡散が関与しますが、破壊の原因は破面や破壊形態などの巨視的な観察を通して行います。左はNi基超合金の強化相である、Ni3Al金属間化合物の室温での引張試験の結果ですが、脆性的に粒界破壊をするNi3Alに、0.1 wt.%のBを添加することで引張伸びが発現し、粒界破壊が抑制されることが判ります。

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ものづくり基礎講座「X線回折」(第59回技術セミナー)
(平成31年1月30日開催)

X線は物質を透過し物質内部を調べることができます。軽量耐熱材として期待されるTiAl基金属間化合物(γ)に、成分設計を施した合金に組織制御を施すと、延性に優れるβ-Ti相との共存による(γ+β)を創製でき、優れた超塑性と拡散接合性を示します。下の写真は、組織制御材の引張試験材を透過法でX線撮影した写真です。aとbはγ単相、cとdはγ+β材で、aとcは1073K、bとdは1473Kの引張試験材です。γ単相材では結晶配向の集積が観察できますが、超塑性を示すγ+β材は認められず、
組織観察結果と併せ微細粒超塑性が起こったことが判ります。

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ものづくり基礎講座「腐食」(第56回技術セミナー)
(平成30年9月26日開催)

Fe-Al合金はAl組成の増加と共に耐食性が向上することが知られています。左下の図は1N 硫酸水溶液中でのFe-Al合金の分極曲線ですが、Al組成の増加と共に電流密度の低い領域が長く、電流密度が低いことが判ります。また右の写真は、キャス試験後の表面ですが、Fe-10Al(a)の表面は腐食しているのに対し、Fe-30Al(b)は腐食が抑制されていることが判ります。このように腐食は合金組成によって大きく変わります。

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ものづくり基礎講座「自動車用材料」(第55回技術セミナー)
(平成30年3月23日開催)

自動車の燃費は変速機や駆動方法に拠らず車体重量に強く依存し、車体の軽量化が燃費向上、すなわち環境改善の有効手段として考えられています。構造部材の比率は鋼材から軽量素材に置き換わるものの、安全性の確保に鋼材は不可欠で、より高強度で薄肉加工が可能な高強度鋼材(ハイテン)にニーズが高まっています。下図はFe-Al合金と鋼材の複合鋼板で、Fe-Al合金のAl量を変えることで、鋼材の重量を最大16%まで低下させることができます。

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ものづくり基礎講座金属の魅力をみなおそう観察・分析編
第2回組成分析(第50回技術セミナー) (平成29年7月25日開催)

「組成分析」とは、試料を構成する元素やそこに含まれる不純物の組成を決めることです。組成は組織と同様に金属の機能に大きく影響をおよぼし、成分を調整することは所望の機能を得る一つの方法です。下図(a)は、B添加Ni3Al金属間化合物の電解イオン顕微鏡による粒界近傍の像です。白い輝点は原子に相当し、粒界に輝点が並んでいることが判ります。質量分析によるマススペクトルから(b)のマトリックスより、(c)の粒界にBが多いことが判ります。

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金属の魅力をみなおそう 観察・分析編 第1回 組織観察
2017年03月29日 ものづくり基礎講座(第49回技術セミナー)より

「組織観察」は金属組織を顕微鏡で観察することです。組織観察を行うことで材料で何が起こり、どのような機能が得られるかを予想できます。すなわち所望の機能の材料の開発において、組織観察は不可欠な工程と言えるでしょう。下図(a)はNb添加鋼のTEM組織ですが、転位が析出物に止められている様子を観察できます。析出物(b)は30~50 nmで、電子線回折(c)からNbCであることが解析でき、この鋼はNbCによる析出強化がおこっていると結論できます。

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  • 解説
  • 図面(2017.12.09図が正しく表示されるファイルと差し替えました)